nagajisの日不定記。
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夢は奇妙なポテンシャルの宝庫であると思う。昨日もこんな夢を見て身悶えした。再現率はほぼ100%である。
オリンピックに出ている。○○オリンピックとかいう紛い物ではなく本当のOLYMPICである。競技はハンマースロー。現実にハンマースローといえば室伏選手の活躍で御存じの通りな「投げる」競技なのだが、いま自分が出ているのはちょっと違う。スローされたハンマーをキャッチする、強いて言えば「スローハンマーキャッチ」とでも言うべき競技である。しかもそのハンマーは本物のハンマーだ。金槌の親玉だ。
ハンマーの柄の尻に皮ヒモがついていて、誰かがこいつをスローする。競技者はスローされたハンマーのハンマー部をよけつつ、皮ヒモ部分を捕まえることでキャッチしなければならない。失敗すれば大怪我どころの話ではない、大変危険な競技である。
自分はいきなり決勝戦にいる。最後の一投が投げられる。落下点に押し寄せる競技相手を押さえつつ、ジャンプ一番。左手で掴もうとした皮ヒモの輪にスルっと腕が入ってしまう。意図せぬ大技。そうして自分は優勝してしまった。
オリンピックで優勝する、という普段考えたこともない状況に置かれてちょっとうろたえた。本当におれ、優勝していいの??? しかし何の咎めもなく今、与えられたメダルが目の前にある。正確に言えばメダルを収めた箱だ。よくある羅紗張りのケースで、とても濃い紺色をしている。ナス紺にスミ50%くらい加えた色だ。蓋の左上に象眼で種目名が書かれている。平行四辺形の連なりの中に1文字ずつで書かれた種目名はちょっとFIATのロゴに似ていなくもない。(しかし今考えてみれば日本語で書かれているのはちょっとどうかと思う。図にしたらしたで錯視酷いし)
蓋を開けると内側にも文字が書かれていた。「パンのことなら小倉屋本舗」。スポンサーらしいのだ。小倉屋本舗が。そうかオリンピックだからな、いろんなスポンサーがあらぁな。と変な納得をするおれ。その違和感にはまるっきり気がついていない。
手にしたメダルはひどくくすんだ色をしている。ピカピカと輝くようなものでは決してなく、まるでズボンのポケットの中に入れたまま洗濯したうえ1週間生乾きで放置した後の500円玉のような色だ。ひでえなあ、金メダルのくせに錆びてやしないか。そう思って布で拭いていると、それが単なる金メダルではなく半分が銀になっていることを知る。そうだった、同点で1位が二人いたんだっけ。で、金メダルと銀メダルを半分ずつにして。今思えば「友情のメダルかよ!」とツッコミたくなるが夢の中の自分はさもそれがルールとばかりの納得をしている。しかしもうちょっとうまく切れなかったのか。縦半分でも横半分でもない、79度くらいのいやらしい角度で切り分けられ繋げられている。
何気なく箱の裏を見ると、裏にも競技名が書かれていた。こちらは「走り幅跳び」だ。あれ、おれ走り幅跳びに出たんだッけ? いやいや、これは運営委員会が経費をケチッて作り損ないの箱を流用しているのだ。オリンピックの運営も財政難で大変なのだろう。そう納得して、流用に腹が立ったりはしない。オリンピックで優勝したことには変わりなく、それはそれとしてメダルとは全く独立した誇りではないか。とはいえちょっとどうかと思わなかった訳でもなく。何か釈然としないが納得するのが吉、みたいな。
そういえば、優勝者には賞金も出るんじゃなかったっけ。慌てて添付?の書類を読む。$149という文字が見える。え、たったこれだけ? と思ったら「million」がついていた。す、すげー!!!149ひゃくまんどるだぁー!!! とっさに円換算できなくったって大金であることに間違いないことはわかる。そしてすぐ
これで心置きなく「日本の廃道」が作れるッ!!専念できるッ!!
と思って、嬉しくなった。いや、これは決して嘘でも義務心からでも受け狙いでもない。夢の中でさえ本当にそう思ったのだからおれはおれ自身がどうかしていると思うのだ。
辛かったこれまでの作業が思い出される。お金のこと、もう心配しなくていいんだ...。そんな幸せな気分に浸りながら、メダルを握りしめたまま横になり、うとうととしてしまうおれ。ハッ、これ夢じゃないよな? と思って目が覚めて、確かにメダルを握っていることを確認した。硬い手触り。箱もある。良かった、夢じゃないよ。ウフフ………………。
と思ったところで目が覚めた。
一際寂しい朝のひととき。