nagajisの日不定記。
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ここ10年分の記憶を残したまま10年若返るという夢を見た。そうなるに至るストーリィも妙。ある日突然悪魔が出現し「最初に私とコンタクトを取った者にあるものを与える」と言い出した。悪魔であるうえその何かが知らされなかったため誰もが怖気づいて近寄らなかったのだが、慢性的に厭世・絶望している私がそのコンタクト役を買って出た。生きていても何もいいことがない。生活も苦しいし体もガタがきている。どうにでもなれよかしと。人生最後の経験として悪魔とやらと会ってみようと。しかしそんな挙手を見た何人かが「俺も俺も」といい始め、結局複数人と競争のようになってしまう。
ロードランナーかスペランカーみたいな擬似三次元平面のダンジョンを走り回り、一人また一人と出し抜いて最後の梯子のところまで到達した。その梯子にはすでにいがぐり頭の男(彼が最後の競争相手だった)がいて、今まさに登らんとしていたのだが、私の姿を見た途端に梯子を譲って寄越した。梯子を登れば悪魔がいる。登ればタダで帰って来れないだろうことは誰もがうすうすわかっている。そんな最後の転回可能地点を前にして彼は怖れをなしてしまったらしい。怯える気持ちはわかる。自分だって怖い。悪魔なんだからきっと死ぬんだろうと思う。それを正直に怯えて辞退するいがぐり頭氏に敬意に近い感情を抱きつつ梯子を登った。
梯子を登り切ると細長い通路状のフロア。床だけで手すりのようなものはない。進んでいくと下から悪魔の声がして筒状の布を渡された。直径が50cmくらいありそうな白い筒で、その中を通して何かを渡してくるらしい。筒布に腕を突っ込むと、何やら ゴツゴツした 書籍の束のごときものの感触。サイズが異なる単行本を3、4冊束にしたような感じだった。これが「あるもの」なのか、と思ったのが、この場面で覚えている最後の事象である。
k気がつくと私は10年前の世界にいた。ORJを始める前の、まだ会社勤めしていた頃の世界。体の調子もその頃の元気さ。あ、時間が巻き戻された、 これが悪魔の「あるもの」の効果なのか、と思うと同時にそれまでの経緯を覚えていることに気づく。単に巻き戻されただけなら悪魔云々なんて憶えていないだろう。ORJが失敗に終わったことも思い出せないはずだ。
ああなるほど、ORJすらなかったことにして、自分のやってきたことを一切無に帰すという罰なのだな。しかも失敗したという記憶はそのままで。失敗したことすら誰も知らないのだ。
それでもまたやるのかい? と自分に問うてみて、もういいやと思ったところ、気分がすっきりした。晴ればれとした。やったという記憶はあってもモノは何一つ残らなかった。黒歴史が未来永劫残るより、嫌な思いをしたことを抱えて生きるほうがまだましだろう。さあて、巻き戻された10年間を何に使おうか。どんな有意義なことに使おうか。しかし結局は同じようなことをして無駄にするのだろうな。そこも含めて悪魔との契約なんだろうな。
というところで目が覚めた。
覚めた直後は結構ユニークなストーリーだと思っていたのだが文章にしてみると何とも陳腐である。ラジオ体操第一の2番目の体操程度のひねりすらない。ていうかこれが夢だったということ自体が悪夢なのかも知れぬ。