nagajisの日不定記。
本日のアクセス数:0|昨日のアクセス数:0
ad
https://archive.org/details/rudimentarythrea00dobsuoft/page/236?q=Rudimentary+Treatise+on+the+Manufacture+of+Bricks+and+Tiles+1868
Dobson "A rudimentary threatise on the manufacture of bricks and tiles"。ここにある説明がHoffman窯の原点。円形の焼成室、煙突根元の円形の煙道。煙道はただ排気のために開け閉めする。1856年発明、1859年特許取得。イギリスでは1862年に初めて建造されたらしい。Archive.orgのこれは1899 edだが1868 edから同じ内容のはず。当時プロイセン・ドイツでは特許の有効期間はとても短く3~5年程度だったらしい(石井正「特許廃止論から国際特許制度への転換の時代―ウィーン国際特許会議の前夜―」。なおイギリスでは窯のデザインを作成してたH.Chamberlineが英国内でのpatentを有してた。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/847643/38
農商務省『分析報文』第1冊(明治20:1887)のホフマン窯の説明。楕円形で副煙道がある。この副煙道を使い、冷却中の房の空気を入れたばかりの生煉瓦を入れた房に導いて予熱乾燥することが薦められている。この副煙道はDobson書にはない。
兵庫県商工労働部『赤煉瓦産地診断報告書』(1957)では播磨地方の煉瓦工場のホフマン窯は「本来ホフマン窯にあるべき送熱管」のないことを指摘している。おそらく副煙道のことを言っている。
以上をまとめると、たぶん、『分析報文』のホフマン窯の時点で元patentにない副煙道の改良が加えられているにもかかわらず「ホフマン氏楕円形赤色煉瓦窯」として説明しているんじゃないか。この報文は東京で最初に作られた石造の環窯(松材燃料)を粉炭で焼くやつに作り変えたのを説明したんじゃなかったっけ。で、その報文の解説を律儀に守ったうえで弁操作で熱の流れをコントロールできるような独自工夫を加えたのが大高庄右衛門の改良ホフマン窯。いわば車輪の大発明。
あるいはHoffmanの特許が円形のとは別に楕円形のもあったのかも知らぬ。円形の場合は12房が最適と経験的に知られてて、それは全房を1サイクルとする焼き方。楕円形のにすると房がもうちょっと増えて2箇所で焼くとかいうこともできなくはなかった。