トップ «前の日記(2022-04-30) 最新 次の日記(2022-05-07)» 編集
1941|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
1942|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
1943|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|
2005|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2012|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2013|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2014|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2015|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2016|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2017|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2018|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2019|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2020|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2021|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2022|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2023|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2024|01|02|03|04|

旧道倶樂部録"

nagajis不定記。
本日のアクセス数:0|昨日のアクセス数:0
ad

独言 | bdb | C60 | D | KINIAS | NDL | OFF-uploader | ORJ | pdb | pdf | ph | ph. | tdb | ToDo | ToRead | Web | web | きたく | | なぞ | ふむ | アジ歴 | キノコ | コアダンプ | | ネタ | ハチ | バックナンバーCD | メモ | 乞御教示 | 企画 | 偽補完 | 力尽きた | 南天 | 危機 | 原稿 | 古レール | 土木デジタルアーカイブス | 土木構造物 | 大日本窯業協会雑誌 | 奇妙なポテンシャル | 奈良近遺調 | 宣伝 | 帰宅 | 廃道とは | 廃道巡 | 廃道本 | 懐古 | 戦前特許 | 挾物 | 文芸 | 料理 | 新聞読 | 既出 | 未消化 | 標識 | 橋梁 | | 滋賀県道元標 | 煉瓦 | 煉瓦刻印 | 煉瓦展 | 煉瓦工場 | 物欲 | 独言 | 現代本邦築城史 | 産業遺産 | 由良要塞 | 発行 | 看板 | 石垣 | | 竹筋 | 納得がいかない | 索道 | 絵葉書 | | | 資料 | 近世以前土木 | 近代デジタルライブラリー | 近代化遺産 | 近遺調 | 道路元標 | 道路考古学 | 道路遺産 | 都計 | 醤油 | 陸幼日記 | | | 鯖復旧 | 鳴門要塞

2022-05-01 [長年日記]

[煉瓦] 粉末の不思議

グラインダーで削った煉瓦の粉は赤い。煉瓦色の粉になる。しかし#2000くらいの目の細かい紙やすりで磨いた時の粉は白い。なんでだろう。

x60~x120の携帯顕微鏡で観察すると、グラインダーの粉はたしかに粗い。ものさしの線の太さよりも小さい粒子。その粒子が赤かったり、白い粒子の周辺に赤いのが付着している。それと同等ぐらいの量の白い粒子や透明な粒子がある。後者は長石とか石英とかの粒なんだろうと思う。 #2000のほうは拡大しても粉末にしか見えない。長石石英まで粉状になった結果白くなったのだろうかと思ったりもしたが、じゃあグラインダ粉に見えている赤い成分はどこへ行ってしまったのだろう。

粘土の組成はケイ素と酸素からなる四面体シートとアルミ酸素からなる八面体シートでできていると聞いた。して八面体シートのアルミの一部が三価の鉄と置き換わっていることがあったり、シートの間に挟まる希土類元素イオンの種類だとか挟まれる水分子の量だとかシートの向きとかでいろんな粘土になる。雲母と緑泥岩とカオリン粘土が同種の構造だというのはちょっと理解しがたい。

赤いのは三価の鉄イオン(Fe2O3)によるものと聞いているけれど、そうすると八面体シートになっていることだということだと思うのだが、細かくすりつぶしたところで鉄イオンがシートから分離するほど小さくなるとは思えない。そもそも微細な粉末にしたら光が均等に散乱して白くなってしまうような気もする。まことによくわからない。

[煉瓦][] 第日本窯業協会雑誌 No.370 近藤清治「普通煉瓦の組織」(T12.6.)

T12.6. 「大阪の原料は堺市付近に産する〔火偏に石〕器粘土或は之に近き壌土及び海砂」(p.283) 煉瓦片の鏡検中著量のラディオラリア硅石(Radiolaria quartzite)を発見、追加で以下原料を取り寄せ (一)大阪府泉北郡葛の葉産粘土 酸化鉄にて汚染せられたる粘土、石英、正長石等の他に微量乃至少量の斜長石、角閃石及び微斜長石を認む。角閃石の内には双晶を為せるものあり (二)同郡深井村産粘土 赤色の粘土、石英、正長石等の他、微量乃至少量の黒雲霧、ラディオラリア硅石、斜長石、微斜長石、ジルコン等を含有。なお角閃石らしきものをも認めたり。 (三)同府堺市付近産海砂 花崗岩の分解に因基せる砂にして石英及び正長石の他、少量の斜長石及び角閃石を含む完全に一致するものはなかった 大阪煉瓦 (一)薄片の外観 東京煉瓦に比して鉱物の粒子粗大なり。亀裂及び気孔の状態は東京煉瓦に同じ。 (二)鉱物の種類 薄片は暗褐黄色の不純粘土中に極めて多量の石英、少量乃至極めて多量の玻璃、著量の正長石及びラディオラリア硅石、少量の斜長石並に微量の微斜長石、斜方輝石、角閃石及び黒雲母を包含し、並焼三、二等以外の煉瓦には著量の硅線石を認む。此の内粘土、玻璃及び硅線石以外の鉱物は、何れも鉱物の風化に依りて生じたる酸化鉄が其亀裂に侵入して汚埃せらる。 石英 石英の粒子にはヂルコン其他の包裏物を含有するものあり。少数の粒子はモゼーイック・ストラクチュアを示す。亀裂は焼度と共に増し、焼過品に於ては殆ど悉く微粒化せり。既に並焼一等に於て周辺の微かに熔融せるものあり。焼過三等に至りては大半熔解して唯だ小さき核心を残せるものあり。 正長石 少数の粒子はモゼーイック・ストラクチュアを示す。亀裂は焼度と共に増し、焼過三等の如きは悉く微粒化せり。周辺の熔融も焼度に比例し、焼過三等の薄片中には大半熔融せるものと認む。 微斜長石 罅裂は焼度と共に進み、多少微粒化せるものあり、周辺の熔融も焼度に比例し、焼過三等に至りては其輪郭明瞭ならず。 斜長石 幅広き集片双晶を成すもの多く、其周辺は酸化鉄と化合して凸凹を生じ且暗褐色を呈せり。亀裂は焼度と共に進み、微粒化せるものあり。熔融の程度も同様にして焼過二、三等の薄片中に之を認めざるは恐らく悉く熔解したるが爲ならん。 斜方輝石 幅広き淡褐色の小片にして多色性強く包裹物なし。 角閃石 淡黄色の小片にして多色性強し、 並燒三等を除きては何れも周辺熔融し、 燒過三等に至りては周辺の熔解著しく、 酸化鉄の侵蝕によりて暗褐色を呈せり。 黒雲母 黄綠色の小片にして其周辺は酸化鉄によりて汚さる。 ラディオラリア硅岩 此硅岩中にはモゼーイック・ストラクチュアを有するものあり。 玻璃 燒度低き煉瓦の玻璃は淡褐色にして透明度低く亀裂及び気泡多し。 燒度の進むに従いて其量を増し、別に石英粒の周囲に亀裂多き無色透明の玻璃を生ず。燒度の最も高きものは此種の玻璃多く、薄片中の間隙らしきものは悉く之を以て埋没せらる。また石英が大方熔融して無色透明の玻璃に化せるものあり。此他亀裂多くして真珠光沢を有する無色透明の玻璃を生ぜり。 硅線石 以上は一二〇-一四〇倍に拡大して鏡検したる結果なるが、著者は長石の熔融せる薄片には或は硬質磁器中に存する硅線石(Sillimanite)か生ぜるならんと思い、四〇〇又は七七五倍に拡大して検したるに果して明瞭に之を認むるを得たり。即ち大阪煉瓦の並燒一等以上には多量の硅線石あり。東京煉瓦の撰燒造及び縮燒過に於ては、長石及び斜方輝石の周囲に赤褐色の針晶を認めたるも如何なる鉱物なるかを確むるを得ざりき。硅線石は主として長石の内周に密集せるものと、長石粒が全く其集合体に変化せるものと、長石の熔融によりて生じたるが如く思はるる微黄透明の玻璃中に比較的疎らに発生せるものとに区別する事を得。長石の内周に密集せる硅線石は輪廓に略ぼ垂直に互に並行して発育せるもの少からず。 硅線石の大さは焼過三等の薄片に於ても長さ〇・〇五粍、幅〇・〇〇一五粍を超えず。従って其性質を確むる事困難なり。然れども此結晶は光学上正にして主軸に対して略直消光をなし、且つ其発生の状態は磁器中に於けるものと全く同一なるを以て、之を硅線石と推定して差支なかるべし。


トップ «前の日記(2022-04-30) 最新 次の日記(2022-05-07)» 編集