nagajisの日不定記。
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後日書き直し:兵庫県旧印南郡を中心に「Kn」刻印(n=1-9の英数字)が分布している。尼崎市や大阪市街でも稀に見かける。この刻印、はじめは一工場のものだと思っていたが、どうもそうじゃないらしい。目撃を重ねるにつれ、印南郡周辺の複数の煉瓦工場が昭和初期に行なっていた共同販売のために各社が使っていた刻印ではないか、と思うようになった。K=Kyoudouの頭文字、nは工場ごとに割り振られた識別番号と。
理由は2つ。
・煉瓦工場があったとされる場所で集中的に見つかっていて、なおかつnの値に地域的偏りが見られる。
・構造物中に見られる時はn=一定の傾向が見られる。例えばK2ばかりとか、K8ばかりとか。ある工場の製造ライン(作業者)を識別するために番号が振られていたのなら、同じ構造物の中に複数のnが混じっているはずだが、そういう例は見つかっていない。必ずn=一定である。
共同販売の機構ははっきりわかっていないが、共通の受注窓口があり、注文に応じて最寄りの工場から煉瓦を供給した(その費用・代価は機構内で平準化した)んじゃないかと想像する。
煉瓦製造業 加古、印南、飾磨郡地方の物産では年産六十八万円余原料豊富ではあるが運搬、設備等不十分のため原料の採取製品の搬出に不利を招きつつある上に財界不況のため需要減退し業者競争激甚のため価格低下し採算困難となりしため申合を行って生産制限、共同販売を実行しつつあるも法律的拘束力がないため協定持続が困難である(注記:なので産業統制を行い組合を設立することが検討されている)〔大阪毎日新聞 1933.5.25(昭和8)@神戸大学新聞記事文庫〕
というわけで「Kn」が見つかり次第ここに追記していく。2013年7月末現在「K4」以外は全て見つかっている。「K」だけが押された機械成形煉瓦も見つかったのでついでに掲げとく。
K1@尼崎市潮江2丁目。印南郡では未発見。
K2@尼崎市潮江2丁目(隣に「大」が転がっていた!)。神崎郡四郷村明田・見野に多数分布。特に見野の東山工業所の跡地(現在は民家)の煉瓦壁にこれが使われている。
K3@西成区今宮。kousenさん情報で最初に知ったKnだ。
K5@高砂市曽根町中筋。釘製「ワ」と並んでいたもの。最寄りは和田煉瓦だが工場跡地では見られなかったような記憶が。
ちょっとわかりづらいけどK6@高砂市阿弥陀町阿弥陀の大正煉瓦跡。他に近くの住宅街の中でもK6を目撃している。
K7@尼崎市の・・・えっとどこだっけ?潮江の一角? 曽根村旧市街地の建物にまとまって使用されてる。大正煉瓦阿弥陀工場の南でも1つ。
K8@姫路市香寺町香呂の在所の転石。少し離れた所にある民家の煉瓦壁にもK8が選択的に使われていた。最寄りは西播煉瓦。
K9@高砂市阿弥陀町一丁目。間違えて入り込んだ小路の先で発見。K9は十三の西の方でも見たことがある。最寄りは中播or大正煉瓦の別所工場。ただし別所村の工場は昭和5年頃にすべて廃止されている。印南郡の別の場所でも見たような気がするんだが……。
Kのみ@弘栄煉瓦岸工場跡近く。このKは釘を使って機械成形の煉瓦に打刻されている(他のKnシリーズはみな手成形に実印?で押されている)。同様の構成で四郷町明田の路傍にも1つ。ここの最寄りは東山工業所。
追記:K4も見つかってコンプリート。ほかにも釘でKを象ったものとか数字が潰されたものとか数字のかわりに「・」とか諸々のバリエーションがある。困ったことである。