nagajisの日不定記。
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本日の収穫。四天王寺さんの何度もチェックしているはずの出店にて発掘した。ネクタイピンである。
左端に発電所記号があることでまず目についたのだが、その右に刻まれている種々のものが、最初はよくわからなかった。「GORYU.T」という文字列があり、さらに3つ「NAKAGOSHO.T」「KITAGOSO.T」「KUROKAWA.T」と並記されていて、それらを結ぶように文字の土台が盛り上がっている。
はじめは単なる装飾かと思ったのだが、そうではなかった。ちゃんと意味がある。これはトンネルだ。発電所の水路トンネルを模式化したものなのだ。
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?longitude=137.86123247517&latitude=35.773144227975
長野県上伊那郡宮田村にある中御所発電所。天竜川支流北御所川から中御所川へ、中御所川から発電所へ水を引く水路トンネルがあり、それに黒川からのトンネルが“GORYU”して発電所に達している。その構成をネクタイピンに刻んであったのだった。厳密にはちょっと違うが……。
裏には「中電中御所発電所竣工記念」「1980.OCT.住友矢作共同企業係」とある。またクリップのところに「PAT.1035405」という刻印も。このPAT.はいろいろなネクタイピンで見られるものらしく、大勢がネット上を探している。そうして適当で無責任な答えしか与えられてない。
特許・実用新案公報DBで検索すると特許1035405号は松下電器の磁気ヘッド切換装置に関するものなので除外。実用新案で調べれば昭和43年に出された実用新案出願広告が見つかった(実公昭43-031055)。東京の篠塚製作所が出願したもので、クリップのバネの役割をしている板がS字型に曲がっていて、その曲がった部分とクリップの先端とでネクタイを挟むようにした工夫である。従来のクリップは先端だけで挟むためネクタイピンが傾いてしまいがちだった。そうならない工夫を施した板バネの出願公告だ。これが成立して実用新案1035405号になったのだろう。