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旧道倶樂部録"

nagajis不定記。
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1941-08-29 この日を編集

[陸幼日記] 八月二十九日 金曜日 晴

午前中、暑中稽古おさめ会行われたり。二、三年の方は試合をなし、一年は見学なりき。やはり下手より上手に従い、目立ちたり。我も、上手となりたし。午後は一時より防空演習行われ、引き続き、飛行機の高度の見方に就きての訓練あり。九七式軽爆約二十米の超低空飛行を行い次々と二千米におよぶ。二十米も下りたる飛行機は我見たことなかりき。搭乗者の通信筒を落したるは始めて見るなり。後焼夷弾演習、夏季休暇に対する訓育学科等あり。焼夷弾は物すごき物なり。然し怖るゝに足らん。午後は数多の行事あり忙しさ此の上なかりき。然し愉快にして一方謹張したり。

〔nagajis:久しぶりに町田生徒監の印〕


1943-08-29 この日を編集

[陸幼日記]八月二十九日 日 晴

〇四・三〇非常呼集あり。体操衣袴にて運動場へ八十四番なりき。今日のは実に頭のめぐり悪く失敗なり。棒倒しありて奇数の勝。柚木崎生徒監は良く又されるものなり。ついで除草。特別授業と称し地理の製図3午前中にあり。綿密なる気持の陶冶なり。一時間睡眠不足し午睡特に眠たし。体操きつし。柔道に行きて先ず体をこなしたり。過度の運動は瘠せる因なり。今の所緊張十分なり。良好。


2010-08-29 この日を編集

[独言] Year! Classilla万歳!

いよいよNagazillaMozillaOS9@Googleがボコスカ落ちるようになって生きるの死ぬのの騒ぎになっていた昨今だが、後継としてClassillaなるものが開発中であることを尻、さっそくダウンロードしてみた。アルファリリースとはいいながら充分使えて何よりGoogleも落ちなくなった。ついでにレンダリングも軽快に(そりゃそうだ、前のは1.3.x相当だからな)。有り難い事じゃー。

追記:とかいったら実はもっと古いレンダリングエンジンなのね。へぇへぇ

What is Clecko?

Clecko is the fork of Gecko used in Classilla. Mozilla ended official Mac OS 9 support with 1.2, although versions through 1.3.1 would still generally build if the patches for OS X (the old Fizzilla build) were removed.

Because Mozilla 1.4 and up include so much OS X specific code that won't work with the CarbonLib available for Mac OS 9, the decision was made to split Gecko off at 1.3.1 (using the Gecko that was maintained in the venerable old WaMCom build) and backport later changes to it rather than use the Mozilla code base directly, which won't build. This version of Gecko thus has a significantly different lineage despite having a common ancestor, and while its sources are similar, its provenance and feature set are therefore necessarily different. To avoid confusion with the main Gecko, even though this forked Gecko is still mostly official Mozilla code, Classilla's version of Gecko was renamed Clecko.

[] 山家橋

野畑で横河橋梁50年史をフェチッてきたので山家橋にかかっているが、遅々として進まない。ぎこぎこ書きながら流れを考えるしかないか。

[独言] どくげん

みなさんが カレーカレーとのたまうから 8月28日は

までは一気に出来たが残り二文字では何も出来ない。「8月28日は晴れ」とか「8月28日は夏」とかそういうことか。「8月28日はカレー」だと締まりがないしな。

[独言] 豊中はあつかった。

38.1℃だそうだ。久しぶりに自転車で運動して(といっても野畑迄往復しただけだが)汗だくになったのは運動不足のせいだと思ったが、違うのかヒャッホウ。

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_ The Kate [やずや(828) いや、なんでもないです]


2014-08-29 この日を編集

[][煉瓦] 大日本窯業会雑誌抜粋

No.149 M38.1.? pp.176-177

煉瓦形状まちまちなことが大口需要に応えることを妨げていた。ストックを有しない理由。大高の統一論もこの頃だった筈(M37)

商況

●煉瓦業の昨今

大阪窯業岸和田、貝塚煉瓦製造所等に由て組織せる煉瓦業組合全体の年産額は約一億万個内外にして東は名古屋西は山陰九州等を重なる販路区域とせる外朝鮮青泥窪等への輸出も尠からざりしが開戦以来公私土木工事の休止を受けて価格下落に傾き東京型煉瓦一千個大阪渡にて七円まで低落するの已むなきに至り同業は甚不況の状態に陥りつつありしに俄然客月末に至り砲兵工廠大阪瓦斯会社其他の方面に要する注文一時に現われ其数は計七千余万個の多きに達し其納期は何れも来年三月中なるを以て茲に供給の不足を生じ為に価格は一躍二円高を呼ぶの好況となりたり元来関西地方に於て使用する煉瓦は其形状区区にして一定せず隋って各製造所共に常に多数の製品を存するなく毎時注文を俟[立+ム矢]て初て製造に着手するものなり是れ今回の如く価格の騰貴を促したる原因なれば将来は其形状を一定するの必要あり是れ単に価格の騰貴を防ぐのみならず急遽の需要にも応じ得るの便ありと云う(大阪朝日) 

No.173 M40.1. p.190

貝塚煉瓦、和泉煉瓦の合併。和泉煉瓦は前年に大高といっしょに満韓視察に行った仲。煉瓦製造業組合の代表として。

○煉瓦会社の合併

府下煉瓦業者の合併談の当業者間に起れるとは既報せしが今回貝塚、和泉の二会社は大阪窯業社に合併することとなり既に各社重役間に仮契約書の調印を了したれば臨時総会を開き合併案を議する筈なるが現在の資本は大阪窯業十八万円、貝塚、和泉は七万円合計三十二万円なるを更に六十八万円増資し資本金一百万円と為し増資の割合は大阪窯業旧株一株に三株、貝塚、和泉旧株一株に一株の割合なりと尚愈々合併確立の上は満韓枢要の地に分工場或は出張所を新設して大に業務の発展を計る筈(大阪毎日)

先立って大阪府煉瓦製造業組合より満韓視察員として大阪窯業社長大高庄右衛門和泉煉瓦専務取締役日吉端両氏出張。報告がNo.172 M39.12. っp.158-159にあり

No.182 M40.11. pp150-151

出典不明だが新聞記事らしい。伝聞形が多く心許ないがじっくり読むと重要な情報が多々書かれてある。

○大阪の煉瓦製造業

目下大阪付近で製造する煉瓦の製造個数は年々一億五千万個、その中で重なる大阪窯業会社の製造数だけが年々八千五百万個に上り日々の製造数二十五、六万個に上って居るそうだ▲窯業会社は目下堺、貝塚、岸和田等の工場を持っているが斯業は請負が多くして会社で日々に使う人夫は割合に少く百人許り居るが多忙な時は千人も使う時がある而してその製造する煉瓦は普通の赤煉瓦と耐火煉瓦の二つであって耐火の方の原料は大理石や耐火粘土と称するものを粉にしたるものより造るがこの方は需要が少いから赤煉瓦の製造が主なそうだ▲煉瓦は大阪付近で出来るのが一番堅く東京その他に製せらるるものは耐重量三噸位だが大阪のは四噸の重さに堪えて最も堅いということだ▲煉瓦の如き堅きものは格価の変動は少いように想像されるにも従来これ程変動の激しいものはなかったという程で少しく景気が好いと沢山製造家を増加して濫出の弊を生じ供給需要に増して甚だしき下落を来す反動に需要が俄かに増加すると俄かに製造が殖えないので価格は非常に騰貴する変動の激しいことこれに越すものがなかったということだが一旦濫出したる諸会社もその後廃業して昨今は漸く昔日の弊を一掃し去る傾きがあるという▲日本では煉瓦の種類上下を分つこと非常に多く殆んど二十種類以上に上って居るが独逸辺の話を聞くと一種類でこれを分類することはないという外国では遠見が綺麗であれば満足するが日本のは近くより見て美しいのを好むそれ故色が同じでもその中に瓦片でも入るとこれを排斥するという風に選択が細密だ随って種類が多くなる▲されど煉瓦は完全な一枚もの許り積み重ねると家が曲がる故に一枚々々の間にその半分のものを二枚重ねて積むその中側に悪い煉瓦を使うことが出来る▲日露戦争当時は内国でも需要が殖え朝鮮、支那にも輸出したものが多かったため多分の利益を得たいということである今日でも需要年々殖えて来て現下各会社にて施設中のものが出来上ると年々二億万個も出来るようになろう目下一億五千万個出来るその中七分は大阪の需要に供するそうだ即ち約一億万個は大阪の何れかに使用される近頃は普通の貸家向きにもこの煉瓦を使用するものが多くなって即ち必ずしも煉瓦造の家許りに限るでないから需要は益々多くなるという

No.186 M41.2. p.303

日本煉瓦+堺の合併話。実現せず。堺はM44頃にも大阪窯業との合併が協議された(後掲)。

●大阪府下の煉瓦業

在来当府下の各煉瓦業社中の多くは既に大阪窯業会社へ合併し目下分立せるは会社側にては右窯業の外日本、堺、岸和田、又個人側にては丹治、津守の都合六営業者となれるがこの内にて日本、堺の両会社は頃日合併交渉中にありその他の分も追々合併の気運に向える模様なるかコハ畢竟一般工業界の発展に伴うて煉瓦の需要益々激増し而も大口の注文品特に多きを以てこれが営業者はその製造上自然多額の疏通資本を要するためなりと而して如上の六営業者の現在製造年額は約一億七千万余個に対し本年の如きは一層需要増加の傾向あるを以てこの際競争販売の弊習を避くべく先ず差向き製品共同販売の内議もあるよしにして八日午後堺に開会されたる同業組合総会を期として将来の製品改善に関して協議する所ありしと(一月十二日大阪新報)

No.209 M43.1. pp.218-219

東京煉瓦業協会の価格協定。東京は大阪に比べ運送が不便、かつ販路が東京付近に限られていて、諸官衙大需要が政府の縮小繰延で減る→停滞品の投げ売り 平年に比べ五割安

機械製の部
焼過一等 150〜125円	二等 145〜120円	三等 140〜115円
並焼一等 135〜110円	二等 130〜105円	三等 125〜100円
手抜製の部
上焼過 120〜105円	中焼過 115〜100円	並焼過 108〜93円
極上 115〜100円	並上 110〜95円	並中 105〜90円	並下 95〜80円

No.225 M44.5. p.405

大阪窯業+堺。岸和田との合併話も。「又前年〜能わざりし」が岸和田にかかるか否か、「此際」の主語が大阪窯業なのか岸煉なのかでずいぶん違う。寸でのところで合併談を蹴ったのは堺煉瓦でなかったか。

●大阪窯業の発展

関西煉瓦業中に於て頭角を現わせる大阪窯業会社は一個年二億万個を製造し得る迄に拡張したるも近来各地に水電、電鉄及び軽便電鉄の工事頻出せる結果需要極めて多く現在の工場にては到底全部を供給し能わざるを以て堺煉瓦会社を合併するの計画にて目下交渉中なるも其条件に就て双方の意見一致せざるを以て未だ実行に至らず又前年合併談ありたるも一部重役の反対に依って終に決行する能わざりし岸和田煉瓦も此際合併せんとの計画あり是れ又交渉中なりと

No.226 M44.6. pp.443-444

明治末不況を乗り切るためのトラストに関する記事。神戸大学新聞記事文庫の記事とリンクする筈。6業者は煉瓦業組合を結成していた(次記事)。

●煉瓦供給同盟

大阪窯業他五煉瓦会社の各代表者は去三日午前九時より堺市堺煉瓦会社に集りトラストに付協議せしが第一項の製品寸法を一定し大口の注文には六社の各前年度の生産率に応じて供給すること及び第三項の生産過剰の場合には此前年度の生産額に応じ一定の操業短縮をなすことの二件は大体に於て異存なきも第二項の個々の注文は価格を千枚に付十一円を最低とし割引をせず単独の供給を許すことに就ては各社の売値区々にして若し最低を十一円とするも之が評定値段となりて遂に其れ以上には売れざるに至るべしとの論出て他に適案を審議するに決し又違約の際の制裁料として一万円を出金することも異論起りて纏らず次に協定区域なる阪神和歌山以外の供給品に付ては之れが価格を定むるを各社の自由に任ずるの件も地方よりの注文にして若し大口ならば亦連合供給の要ある故予しめ価格に或程度の協定をなす要ありとなし尚大阪窯業は地方の顧客に対し再考するの要ありとて日を更めて再び協定することとなりて二時過散会したるが大体に於ては各社とも異議なきも但だ岸和田会社の如きは多少悦ばざる色あれば纏るにしても尚多少の議論あるを免れざるべしと。

No.208 M44.12. p.173

●大阪府下の煉瓦業

現今煉瓦は各地に産出するに至れるも何れも皆小組織にして東京付近にて製造するものは単に同地方に供給するのみに止まり他の需要に応じ得る程の余裕とてはあらず然るに独り大阪府下に於ては日本煉瓦株式会社大阪窯業株式会社丹治煉瓦製造所津守煉瓦製造所堺煉瓦株式会社岸和田煉瓦株式会社の如き主なる製造者が大阪府煉瓦製造組合なる者を組織し此組合は何れも独逸ホフマン式の竃に拠りて製造するものなるが其産額一ケ年約二億万個に上り其数量全国に冠たるのみならず品質の優良にして殊に工場は総て海運の便なることとて各地への発送運賃も自然低廉となり当地方は勿論各地の大口注文に対しては大抵此組合にて供給する有様なり左れど一般の不景気は何時しか斯業にも大影響を及ぼし一昨年一二月頃十七八円の最高値に達せしものも爾来次第に低落一方に傾き一時は鉄道工事中止のことありて僅に八円台に下るの悲況を見るに至れりと雖も昨今漸く需要を増し差向き下等品の需要多き模様なれど日一日と好調に向いつつあれば今後来春ともならば大口小口共に需要増進を見るならんという(大坂時事新報)


2016-08-29 この日を編集

[独言] ええいなんてこった

画像の説明

結局コレを撮ってきただけじゃないか、今日の収穫は。

あと、日本野鳥の会長靴は素晴らしい。「日本野鳥の会長」靴じゃないよ。

[奇妙なポテンシャル] 辞典ではありません

画像の説明この間みた「困ったときのベタ辞典」という本。中身はほんとしょうもない。「猫が寝込んだ」レベルのくだらないギャグとか口合いとかがたくさん載っているだけである。

画像の説明裏にこんなラベルが貼ってあった。じっくり読み、噛んで含んで味わっていると、どこからともなく込み上げてくる可笑しさがある。正統派の奇妙なポテンシャル案件である。


2017-08-29 この日を編集

[] 明治28年 第四回内国勧業博覧会出品 第十類 其二 建築用煉化石

とりあえず関係するところだけ抜粋。

其二 煉化石、瓦、土管、等の建築用品

主任  中澤岩太
    高山甚太郎
審査者 山口半六
    植木平之允

此類に属する出品は左の四種とす

一 建築用煉化石
二 耐火煉化石
三 瓦
四 土管

一 建築用煉化石

築建用煉化石の場内に陳列せられたるもの其数頗る多し乃ち東京大坂京都の三府を初めとし兵庫埼玉茨城奈良三重愛知滋賀青森秋田福井富山島根広島山口徳島愛媛香川福岡佐賀等の諸県より多少の出品ありて其出品人員は六十七出品点数は無慮百九十四に達せり然れども一二製造所の良品を除くの外は品質、形状、色沢等孰れも大同小異にして敢て優等として賞揚するにたるものなし加之或は本会への出品を目的として故らに製造に注意を加え或は僅かに優等品のみを撰取し出すやの嫌あるもなしとせず惟うに良質と目すべき煉化石は形状一定して製正し色沢均一にして駁雑ならず原土の煉方も充分にして内部の構成緻密に空隙の存せざるを要す且焼方も適度を得て適量の水分を吸収せざるべきは勿論なり然るに出品の煉化石は一見せる所にては形状色沢頗る一定して稍々良質なるに似たる無きにあらざれども之を破碎して其内部を検視するときは原料の準備に欠くあり且模型に填充して成形の方法宜しきを得ずして空隙を存し甚しきは異種の粘土の成層を見るあり是れ豈に製造方の宜しきを得たるものと做すを得んや当業者反省して須らく之が改良の方法に心を盡すべきなり

東京府並に埼玉県の出品中には頗る優等なるものありて前述の如き弊害なきは賞揚するに足れり且つ単に普通の建築煉化石に止まらず出品の中各般異形の種類もあり又耐震用に属する品種もあり顧うに耐震煉化石は如何なる構造を以て最も適宜なりとすべきかは専門家中にも未だ定説あらず尚幾多の試験を要すべきもモルタルの接合を強くするに適する方法を案出することは震災予防の一方便として緊切なるべし又日本煉瓦製造株式会社の出品に係る化粧煉化石並に所謂軽量煉化石は外国製品を模造せるものにして新規の考案たるにはあらざれども本邦に於ける之が製造は同社を以て嚆矢となす殊に化粧煉化石は近頃大に需要を増加し特有の効用も顕著なることなれば其将来の製造は実に属望すべき工業なりとす

煉化石の原料を捏混するに渾て機械を使用する工場の製品は概して原土の調和成形の方法共に佳良なれども専ら手工に属するものは稍々粗悪なるの憾あり蓋し近年製品上価格の競争頗る盛にして且つ一種の受負法漸く行わるるより製造費を低廉ならしめと欲し動もすれば粗製濫造の弊に陥れるなり受負の方法強ち不可と云うに非ざるも職工の業務を監督し粗造の弊害を蠲除する注意をば忽せにせざらんを要す

従来煉化石の焼成に供用する窯は通例陶磁器の窯に類似せるものにして燃料は薪材なりしが先年東京小菅集治監に於ては故農商務雇ドイツ人ドクトル ワグネルの設計に拠りホフマン式の輪窯を築設し粉炭を使用することを明示せし以来諸所の煉化石工場に於ても仝種の窯を建築して其便益の大なることを徴知し実に本邦煉化石製造業に於て一大紀年を起せり抑々ホフマン輪窯は千八百五十八年頃独逸国ステチン府近傍のソールウインに於て建設せるを初めとし爾来之を実地に応用するに当り幾多の困難を経しもホフマンの忍耐不撓なる善く実験の効を奏し且つ千八百六十七年巴里に於ける万国博覧会にては金牌賞を受領せるを以て大に世人の信用を博し啻に煉化石の焼成のみならず石灰セメントの製造所に於ても之を築設するに至り現今独逸国に於ては其数無慮三千以上に達せりと云う今仮りに独逸国にて使用の煉化石を総て輪窯にて焼成するものとすれば之が一ヶ年間費消の燃料を節減するの大なる価格に算するに少くも九千二百万「マルク」なりす凡そ工業上の発明若くは製造方法の改良にして世を稗益せる実例は枚挙に遑あらず中にもホフマン窯の如き亦最も顕著なる一に居る輓近我国に於ても該種の窯を啻に煉化石の製造のみならずセメントの焼成にも応用するに至れるは実に窯業上の進歩として賀せざるを得ざるなり

原土の捏混を充分にし成形の方法に一層の注意を要すると同時に尚当業者に勧告せんと欲するものは所謂風化物の発生を予防するの方法を実試するに在り通例既製煉化石を建築工事に供用するの後其外面に白色の塩類を発生して大に外観を損傷することあり此塩類こそ即ち風化物にて其中には稀有の原素を含有することなしとせざれども通常硫酸塩殊に硫酸石灰は主成分となりて存在するものなるを以て風化物発生の予防方として原土に若干の炭酸重土若くは塩化バリユムを混和すべし但し該混和物の分量は原土中に混在する硫酸の多少に拠り之を試定すべきは勿論なり

要之建築用煉化石の製造は近年の発達に係る一工業なるに拘わらず前同以来進歩の迹著るきを見る彼の化粧煉化石の製造の如きホフマン輪窯応用の結果の如き以て徴すべきなり然れども普通の製品に就ては前文に摘示せる如く尚大に注意を要すべき方案多し当業者其れ改良に心を留めざるべけんや我邦の如き文化の進歩に伴て将来興起すべき建築土木工事の益々多きは弁を俟たず従て煉化石の之が一材料として緊要欠くべからざるものとなるは疑を容れざるが故に其製造業の忽諸に付すべからざるは論を俟たず先年濃尾の震災の際殊に煉化石建築の痛く損害を受けたるを見て煉化石は到底我邦の建築材料に適せずとまで唱道せしものありて一時之が製造の衰微を呈し往々廃業せるものありしが此不好結果たる豈に独り煉化石のみの遺闕に期すべけんや思うに別に原因の存すべきや明らけし観を爾来煉化石の需用漸次増加し曩きに萎靡して振わざりし工場も今や駸々として隆盛の状労を呈し此回の出品点数の如き頗る多きを加うるにあらずや是れ然しながら煉化石応用の区域近時益々拡張せる結果に他ならざるべし当業者の前途亦多望なる哉

煉化石審査の際各標本の重量、寸法、吸水量等を検定せり其結果は当業者の参考となるべきを以て左に之を附記す

煉化石試験成績表 (※注:抜粋)

府県出品人名出品番号名称形状原重量重量百分率
京都田中卯兵衛
(〔→大萱田中煉瓦工場@滋賀M32〕)
6235423.311.96.714.250.26
木村宗三郎
(→山田宗三郎?)
3225422.210.75012.200.23
大坂田中清助8黒艶 上面磨246923.311.25.414.420.25
喜多羅守三郎
(旭商社)
2東京型 磨277722.510.66.09.140.18
9異形蛇腹用過重20.220.2不検不検不検
九里庄次郎
(九里工場)
1251322.010.65.47.840.16
2277222.310.66.07.720.15
子師常次郎
(子師工場)
3268222.110.76.011.570.21
太田平次
(堺附洲煉瓦)
2250923.712.05.211.740.20
3234022.010.45.25.430.11
飯田久兵衛1200121.510.35.011.690.21
大坂煉化石合資会社 岡島嘉平次
(大阪煉化石)
3228623.011.05.217.190.30
4241925.0/22.010.55.06.570.13
長尾藤三
(大阪窯業)
2264922.210.65.910.380.20
3(異形)268623.110.86.012.770.25
森本小兵衛3(異形)227523.0/12.010.55.98.000.17
岸和田煉瓦株式会社 山岡尹方
(岸和田煉瓦)
1242822.510.35.34.450.09
丹治利右衛門
(丹治煉瓦)
4(擬鼻黒乙)269822.110.75.97.820.15
福本元之助
(堺煉瓦)
1277122.411.06.012.230.22
2243822.710.95.312.140.23
3279022.110.55.96.450.13
近山太兵衛1不定22.410.76.0不定不定
岡田門太郎1252822.510.75.614.360.27
2(異形)250122.510.76.18.120.16
兵庫山陽煉瓦株式会社 中川浩平1柱角 花型258923.711.55.613.170.26
2蛇腹 一種268923.0/17.311.2/7.56.011.380.21
3蛇腹 二種293923.8/15.213.75.813.580.21
4並型279223.711.55.713.290.24
関西煉瓦株式会社和田半兵衛代理 川崎作右衛門
(関西煉瓦)
1268922.410.75.812.270.20
安積秀吉1288221.210.46.55.660.11
中村重次郎
(由良町工場)
1上々232921.810.65.35.930.11
2250522.410.75.27.230.15
3242122.810.85.412.270.22
奈良平松甚平
(〔鹿峰社→〕)
1194220.59.85.18.810.17
三重水谷政兵衛
(〔勢陽社→〕水谷工場)
7267422.810.85.59.610.19
安井政次郎2迫形378622.912.5/10.27.37.870.15
奥山源一郎1231922.710.75.510.390.18
愛知永江金三郎
(永江工場)
1真焼(異形)236720.810.85.36.0080.12
2三一347222.510.75.46.590.12
大野介蔵
(〔刈谷授産所→〕大野工場)
1245822.310.85.311.550.22
2鼻黒339322.911.17.29.640.18
金原松次郎3築窯用216622.810.65.015.470.29
7仝(黒)218322.510.95.315.670.29
滋賀杉本喜三郎
(杉本煉瓦製造場@甲賀郡寺庄村)
1248222.110.45.911.850.22
福井加藤 伸1256322.210.85.16.130.13
島根富金原清三郎1176820.99.94.614.990.28
野村藤蔵2不定22.711.06.0不定不定
田平文二郎2(黄樺)193021.810.24.213.420.28
橋本兵作4270023.511.25.513.520.25
5(黄)214722.710.85.220.170.34
広島西山健吾
(西山煉化製造場@賀茂郡三津町)
1266923.210.95.514.000.27
豊島喜右衛門1274122.410.65.89.890.20
友田三蔵1不定24.211.36.4不定不定
武田貞次郎
(武田煉化会社工場@賀茂郡三津町)
1264923.011.05.413.700.27
山口河本浅次郎1272322.410.65.77.490.15
柿本正信1212022.010.75.313.590.24
松井惣兵衛1223221.610.45.212.770.24
松井儀助1222622.210.75.914.650.26
藤井禎太郎1223922.410.85.516.210.27
藤村藤右衛門1244323.111.15.516.700.29
鈴木利右衛門1238722.510.85.413.070.24
徳島天羽九郎
(天羽煉化製造所)
1242422.410.95.311.960.22
4角丸形238822.410.75.29.760.19
5角切形292521.710.65.86.320.14
6剣先280122.211.06.013.850.26
魚瀬吉蔵1(異形)209422.210.65.012.700.25
2角石落224922.3/17.010.7/5.45.211.370.23
香藤源吉1(焼過)286522.610.85.68.550.18
2283322.510.85.95.080.10
3(横黒)305024.011.96.18.130.14
藤本庫八2259023.211.45.514.940.27
愛媛松尾鉄三
(煉瓦製造所@賀茂郡三津町?)
1249922.210.55.810.960.20
香川中村林鹿2216521.810.55.013.490.25
3243522.611.05.514.660.26
七浦久三郎1221321.810.55.518.930.33
木村八百吉
(鶴求煉瓦製造所)
125682.510.65.712.780.24

以下、残りの工場分

東京金町製瓦株式会社1 家屋用上磨241732.410.65.816.590.3
2仝 撰極上248122.510.4613.950.25
3仝 極上237722.710.9620.570.33
東京金町製瓦株式会社1家屋用上磨241732.410.65.816.590.30
2仝 撰極上248122.510.46.013.950.25
3仝 極上237722.710.96.020.570.33
4仝 並上226622.511.05.821.620.34
5仝 並中232923.011.05.921.900.34
7仝 撰焼過239222.210.55.814.420.26
8仝 上焼過241122.510.35.713.070.24
9仝 並焼過247322.510.66.011.810.20
11仝 迫持228023.011.36.0/5.220.440.32
12仝 八角柱用1886(最長)21.011.05.99.650.19
東京金町製瓦株式会社13仝 円柱用96911.3/4.710.46.2/5.917.030.16
15仝 蛇腹用218222.111.35.817.090.29
16仝 扇地263427.5/15.811.56.1/5.614.880.13
17仝 横黒238621.610.25.211.150.23
18仝 鼻黒241821.510.0/10.45.67.980.16
19鉄道用一等焼過238621.810.25.711.650.22
20仝 二等焼過241722.310.75.913.980.23
21仝 三等焼過245822.710.86.018.390.31
22仝 橋台用(横黒)273322.5/20.611.55.811.050.21
23仝 仝(鼻黒)267124.010.8/9.45.917.710.33
24仝 仝270723.2/22.011.66.015.880.27
25仝 仝254122.511.2/9.75.612.080.23
26仝 剣突形2501(最長)23.011.55.611.360.22
27仝 敷煉瓦(重量過大不可測)32.116.015.3不検不検
28煙突用 耐震210217.511.55.813.560.25
齋藤勘次郎(齋藤工場・本所区本所横川町51)1化粧用(白釉)279222.111.06.110.530.20
埼玉日本煉瓦製造株式会社1カッセル窯焼 薄色 1/456.75.510.76.017.920.30
2仝 仝 2/4109510.510.76.017.350.29
3仝 仝 3/4170116.310.76.118.340.31
4仝 仝 全形228123.010.75.818.280.31
5仝 赤色 1/46145.610.96.016.540.28
6仝 仝 2/4112310.510.86.117.990.30
7仝 仝 3/4171416.710.96.016.800.27
8仝 仝 全形211921.710.75.717.700.29
9ホフマン窯焼 焼過一等240622.110.45.512.550.24
10仝 仝二等251022.410.35.814.300.27
11仝 仝三等252322.310.95.817.630.31
12仝 並焼一等236622.310.65.817.240.30
13仝 仝二等248822.810.85.918.050.31
14仝 仝三等245822.510.95.719.240.34
17仝 焼過耐震238821.710.55.816.370.30
18仝 並焼 仝239522.511.05.818.200.30
19仝 並焼過穿孔耐震217221.210.25.811.190.19
20仝 並焼 仝 仝206721.410.55.515.380.26
21仝 軽量166222.110.55.113.480.19
22-1カッセル窯焼化粧用異形207422.010.66.1/4.117.700.31
22-2187922.010.75.2/4.217.300.29
22-3240323.211.06.016.640.28
22-4189221.810.66.0/4.216.970.30
22-5227221.710.95.0/6.016.510.29
22-6230022.511.2/6.86.013.870.27
22-7235123.6/16.510.95.915.700.27
22-8252823.010.66.216.690.30
22-9225923.411.15.817.180.32
22-106357.410.75.5/4.516.850.28
22-117897.310.75.4/6.016.980.38
22-12カッセル窯焼化粧用異形82811.011.06.2/1.517.151.33
22-13123611.011.06.215.780.28
22-14151516.410.74.5/6.017.360.38
23ホフマン窯焼々過穴明 1/46085.310.66.014.470.27
24仝 2/4117110.310.75.910.930.20
茨城大藤国五郎1並中241722.311.65.713.490.22
2並上240922.811.55.514.360.24
3極上240522.411.35.514.360.24
4端黒261822.211.25.74.510.08
5横黒243622.011.15.45.380.10
6上焼過262022.111.35.67.020.13
青森江戸与市1242121.310.75.610.000.19
秋田原田平治1274024.811.75.517.040.29
二坂條吉1222122.911.75.820.620.31
小笠原良助1318925.212.06.014.830.26
高橋宇一郎1287423.812.06.018.890.32
相馬喜左衛門1(淡黄褐)340224.212.36.316.110.30
富山西尾要吉(M41中越煉瓦合資会社業務担当社員)1233622.810.85.618.240.31
福岡石原広義1269122.810.86.116.310.30
原田善右(→原田煉瓦工場・嘉穂郡穂波村忠隈?)3建築用 白312923.311.55.89.780.20
早川嘉平1239422.110.75.211.190.22
佐賀八頭司孫三郎(小城郡砥川村)1255522.711.05.412.250.23

第四回(明治廿八年)内国勧業博覧会審査報告. 第5-10冊

まるで同窓会だな、と自分以外の他の誰にも分からないであろう感慨に浸って老けてみる。

寸評ではやはり埼玉東京の煉瓦が褒められて他のはダメ出しだ。明治28年といえば大阪窯業も機械導入していなかった。んじゃあ堺煉化石の機械はどこへいったのだ。公告はブラフか。それともまともに動かなかったのか。それはともかく博覧会用に出来のいいのを提出する風が強くなって、見た目ばかり好くて中身は隙間だらけとか多分にあったようだ。

風化物についての指摘は面白い。CaSO4も溶けにくいものだがさきに安定なBaSO4を作らしめて析出させないようにという魂胆だろう。しかしSO42-は粉炭に含まれる硫黄分が取り込まれての分が多かったはずで、そうすると原土の硫酸分を調べても無駄だろう。これは後に火を停めるタイミングを適切にすることである程度抑制できるようになった。大正時代のことだけれども。

第三回の寸評もそうだが結構重要な事を的確に言っている。大高が煉瓦サイズの統一を叫ぶ10年も前からこの弊害は問題になっていたのだ。問題だと指摘する指導さえあったのだ。にもかかわらずなのはちょっと残念である。析出物問題だって完全に解決されたわけではなかったろう。

第4回の出品者は他の府県で工場主になっている人が多い。朱は年次を厳密には見てないので合ってないかもしれない。あとで見直そう。

[独言][煉瓦工場] 内国勧業博覧会出品の字眼

M28の第4回に由良洲本の工場の出品が有ること。

同上、鹿峰社の平松甚平が出品しちょること。ならば梅田湊町線でRやMがあってもよいことになる。ひょっとしたら大和煉瓦につながるのかと思いまほろばライブラリーを開こうとしたらdenyられた。くそ文句言ったからか。

M24北辰社以外に徳島に工場ありしこと。

関西煉瓦の煉瓦がM24時点で未だいまいちなこと。

勝部工場で山陽型焼いてたこと。□部煉瓦製造所の□を埋めろ!

M20年代は関東のほうが質が高かった。ホフマン窯も製造機械もござらんのでな、 これは致し方ない 。そして関東の煉瓦は吸水率高め。これは第五回の寸評を見るとさらに明らか。機械整形が裏目に?土質? でもM28時点でカッセル窯なのね>日本煉瓦製造

山陽煉瓦株式会社ってなんやねん。。。。

明治20年代の和歌山煉瓦製造所が田中町の和歌山煉瓦につながっていくこと。

以上久しぶりに芋づる式の発見。

此のパズルのピース数幾許ぞ。


2019-08-29 この日を編集

[煉瓦展] 選定・解説了

了にせんといつまで経っても終わらんだろ。119。折コン×4。

あとは壁面掲示をちまちまと作っていくだけ。机の配置を変えてスキャナが遠くなってしまったので常使いすることができない。固定配置を考えないといけないようだ。

画像の説明画像の説明画像の説明

2020-08-29 この日を編集

[] うーむ

船坂トンネルが思いの外長くなっている。起をスカスカにぶっ飛ばして、三石に着いた所からを書き始めて3/5くらい行った所で30000に達する勢い。それで船坂トンネル内部にも至っていないんだ。諦めて前編後編にするか……(一気に書き上げる気力がないというより書いておかなければならないことが多すぎて途方に暮れている。ここで無理に書き上げたらそれこそスカスカなのになってしまうと思う)。

工学会誌と隧道工事編の解説、 山陽鉄道のこと、日本土木会社、三石と耐火煉瓦。現時点でまともに進んでいるのは最後の一つだけ。バックグラウンドに力を入れても……と思わないでもないけれど、今回の探索は重箱の隅を突くような瑣末事なので書いとかないと伝わらないという強迫観念じみたものがある。紀行文だから沿道描写だけでいいというわけじゃないのは司馬さんの「街道をゆく」が例証してくれているから悪く真似てみよう。あんだけ自由に書けたらどんなに気持ちいいだろうといつも思う。

日本土木会社については最新の研究成果があるようなので今度取りに行くつもりでいる。この会社のことはもっと追求されていいと思うんだけど大成建設の社史に書かれていることくらいしか知られていない。しかも結構不十分らしいし、一覧にない「作品」も多数ある。亀の瀬の辺りとか、対馬要塞とか。京都鉄道の保津峡区間も手がけようとしてたりしたらしいが着工前に解散している。船坂トンネルは山陽鉄道のところに混ぜ込まれてあるかも知れないが、単体工事としては珍しく詳しくわかっている例で貴重かも知れない。

鉄道構造物の個性は、それを計画した鉄道会社によるのか、それとも請け負った会社(組)によるのか、わかりそうでよくわからない。例えば初代船坂のポータルと旧長野隧道のはよく似ているが多分無関係。京都鉄道のトンネルは冠山トンネルと全然違う。同じ鹿島組の系統なのに。山陽鉄道で山陽型が採用された理由の根源が、日本土木から引き抜いた技術者によるものなのか南清・速水太郎ラインなのか、それとも会社とは無関係で、そんな煉瓦を製造し売り込んだ会社があったのか。とにかく一筋縄ではいかない。わかったらかなり面白いと思うんだけどなあ。


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