録"nagajisの日不定記。
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R長手/厚 30= 4.09 [4.05, 4.13]99%
R小口/厚 30= 2.02 [1.99, 2.04]99%
D30 = 228.7 x 111.3 x 55.90 mm
⇒ 7.55 x 3.65 x 1.85 寸
or 9 x 4-3/8 x 2-1/4 in ( 1.2 in/寸 換算 )
門ノ前暗渠は目地がよく抜けていて計測に向くことに気つき、以前から気になっていたことを確かめに行った。「煉瓦のどこを測ればよいか」という根源的なことだ。
nagajisが勝手に主張している対厚比法では、小口は各辺の中央で小口幅・厚を、長手長も面の中央で測ることにしている。長手の厚だけは長手のだいたい1/4のところ。長手厚の計測箇所をここにしているのはそこがいちばん測りやすいというのもあるし(その上下に縦目地があるのでどんなに目地が詰まっていても計測することができる)、その辺りが最も厚いことが多いと、対厚比法を始めた当初に気づいたからだ。長手中央で厚を測ると小口厚よりも小さな値になる傾向があったので、それを小口側に合わせるようなイメージで。もし煉瓦が完全な直方体ならどこで測っても厚は同じだろうが(それを理想形と仮定して対厚比法をやってるわけだけれども)実際には火の当たり方とか成形時の歪みとかで完全一様とはいかない。同じ面でも測る場所によって値が変わる。小口や長手は三桁数字なので比に現れる影響は小さいとしても、厚に関しては小数点以下一桁まで有効である必要があり、違いが結果を大きく左右する。どこの厚を測るかで対厚比が大きく変わる。
その「測る場所によってどれだけ値が変わるか」を、門ノ前暗渠で試してみようというわけだ。結果は上表。長手と長手厚、小口と小口厚の各行は、同一の煉瓦について計測箇所を変えて測った値のセット。背景に色をつけてあるのはその計測における最大値、すなわちその煉瓦の長手|小口|厚の最大値と考えてよい(ただし表面に露出している部分においての。それが煉瓦全体の最大値だという保証はない)。
長手、小口に関しては中央のほうが大である場合と端のほうが大である場合がほとんど拮抗している。厚も長手1/4厚と長手中央厚とでは大小の偏りがないように見える。長手・小口は端で測った値の平均値が中央計測より0.7~0.8mmほど大きいのもまあうなづける。端といったときに測れる箇所は2箇所あるわけだが、そのうちの大きく見えるほうを選んで計測したところがある。もし木枠等で仕上がり寸法のチェックがされていたとすればその合否に影響するのは辺の最小値ではなく最大値のほうだから(と思って大きい方を選んで測ったが、よく考えたらあんま意味ないなこの計測の課題に対しては)。
何より大事なのは、厚を端で測ると明らかに小になる傾向がみられること。すなわち煉瓦を平置きしたときの四隅が小さくなる傾向。模式図を書けばこんな感じになるかと思う。
原因はいろいろ考えられるのだが、煉瓦の角=三辺から熱が加わる=他の部位に比べて焼成が進むために縮みやすいんじゃないかと想像する。ただ窯内で積み上げた時に角が完全に露出するとは限らないのでアレかも知れない。それから端はそもそも正確に計測するのが難しい。多少を問わず角が欠けていることが多いし、成形→乾燥の過程ですでに歪んでいる可能性も高いと思われる。整形し直せばなおさら角は歪みやすいだろう。
で、問題は「そこを測ることの妥当性」を評価できるかどうか、対厚比法の計測箇所は中央と長手1/4厚でよいのか、なのだが、正直これといった断言ができない。対厚比法に則って算出した対厚比(オレンジの網掛け)は 4.09 / 2.02 となったが、その数値が「煉瓦の辺の比を正しく表している」ということの証拠が実はない。煉瓦の寸法といったとき、各辺の最小値よりも最大値のほうが煉瓦の寸法とは考えやすいとは思うし、型枠などで規格合致の可否を判断する場合にも最大値のほうが効いてくるとは思う。そこ(各辺中央)だけが極端に厚いようだとただ歪んでるだけかも知れないが……例えば小口厚なら1mm以下の違いしかないのでまあ特に膨らんでるとは言わないでもいいのかもしれん。対厚比法で比を考えようという場合にその小さな違いが大なる影響を及ぼすだけだ。
平均寸法を1/8インチで規格化すると、 9 x 4-3/8 x 2-1/4 in となり、これは目地厚 1/4 inとする規格に見える。イギリスにもこの寸法が流通していた時期があるし、関西鉄道揖斐川橋梁の井筒にも 9 x 4-3/8 x 3 inの矩形煉瓦が採用されたとする記録がある。ただし 9 x 4-3/8 x 2-1/4 in の対厚比は 4.00 / 1.94 で、計測で得られた値とは異なる。これは厚計測値 55.90 mm を1/8インチで規格化し 2-1/4 in = 57.15 mm とみなしたために起こる齟齬。すなわち 9 x 4-3/8 x 2-1/4 in を仕上がり寸法として、それに近いものになるよう尺寸規格で作った結果と考えられる。鉄道技術とともにイギリスから持ち込まれた煉瓦の寸法を尺寸で再現しようとした結果の産物が京都大阪間鉄道の煉瓦だと。
仮にその想像が正しければ=計測した対厚比を全面的に信じれば、三辺比が 4.1 : 2.0 : 1.0 となるような型枠、例えば 8寸2分 : 4寸 : 2寸 という型枠で素地を作ったことになる。8寸2分(=248.46mm)を9インチ(=228.60mm)に焼き縮めるような焼き方をすれば、すなわち収縮率8%に焼けば該煉瓦になる。けっこうわかりやすい。まあそのような想像が、中央・1/4を計測した場合には言える故に―――そこを測った場合にその結果を用いて他のことがうまく説明できることから帰納的に妥当と考えているという、まことにまどろっこしい立脚をしているのだった。
本当はM24規格がものをいうはずなんだけれども、あれも厚 2-1/4 in を決めうちにして、平面形 9 x 4-1/2 in を最大としてそれ以下に焼き縮むことを認めるもので、必ずしも 9 x 4-3/8 x 2-1/4 in の妥当性というかを証明するもんじゃないし、京都大阪間鉄道~中山道線~東海道線の試行の結果がM24規格なのであって、これに準拠して京都大阪間を作ったわけじゃない。だったらむしろ『鉄道道路曲線測量表 : 附・布設法』(M32)の第22節 煉瓦積求積速算表使用法にある「日本の鉄道にて使用する煉瓦は普通長九吋巾四吋二分の一厚二吋四分の一である」の記述のほうが。
仮にここで端厚のほうが元の素地の辺比を保存していると仮定して対厚比を算出すると 4.17 / 2.05 くらいになる。端-端で比を出せばさらに大きい。これだって 4.15 / 2.05 とみなせば 8.3 : 4.1 : 2.0 の型枠で作れないわけではない。小口が4寸1分という中途半端感がちょっと引っかかるだけだ。あと、端を正しい厚とみなして寸法平均値を出すと 9 x 4-3/8 x 2-1/8 in となるが、京都大阪間鉄道の煉瓦積みにインチメジャーを当てると目地込み 2-1/2 in で積んでいることが明白にわかるので、厚 2-1/8 in に 3/8 in 目地となることになるが、だとすると長手方向小口方向の目地厚と揃わないことになってしまう。2-1/4 in 厚に 1/4 in 目地と考えたほうが縦目地も 1/4 in なのでスッキリする。まあこれも、縦目地横目地で目地厚を違える示方書もあるので全くおかしいことでもない。
もやもやと考えてきたことを頑張って言語化してみたがやっぱりうまくまとめられないな。的確に必要最小限に書き切ることができないとだめだ。
そこのところ市古煉瓦はようやっとる。市古の薄型を全面的に使っているとみられる宮川暗渠なんかは対厚比 3.98 / 1.94 で、これは 9 x 4-1/2 x 2-1/4 inの対厚比 4.00 / 1.94 に限りなく近い。おそらく型枠からインチで作ったか、尺寸単位厘刻みでインチに限りなく近づけて作ったかしているはず。規格化すると9-1/8 in になってしまうが。むしろ 7.6 x 3.75 x 1.90 寸を狙って作ってあるのかもしれぬ。
R長手/厚 31= 3.98 [3.95, 4.02]99%
R小口/厚 31= 1.94 [1.92, 1.97]99%
D31 = 229.7 x 113.8 x 58.05 mm
⇒ 7.60 x 3.75 x 1.90 寸 or 9-1/8 x 4-1/2 x 2-1/4 in ( 1.2 in/寸 換算 )