録"nagajisの日不定記。
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大阪歴博の建築系学芸員だった酒井一光さんとは一度だけお目にかかったことがある。いつだったかはっきりとは思い出せないが、たぶんKINIASの見学会か発表会の時だったと思う。煉瓦刻印に興味を持ったばかりの頃で、自分以外の研究成果について何も知らないままに大阪府下工場の一覧を作ったりしてそのことを発表した時だったんじゃないか。もちろん酒井さんがタイルや煉瓦の研究をなさっていること(当時大阪では間違いなく第一人者であったはず)も知らなかった。そんな方の前で自慢げにいろいろ喋ったはずである。いま考えてみればまことに恥ずかしいことである。
発表の後で少しお話をした。確か大阪歴博に展示されていた〝YEGAWA〟銘の煉瓦や〝Sugimoto〟銘の煉瓦のことだったと思う。これが歴博にあるということをご存知でなかった様子で(歴博の職員なのに?)、それを驚いておられたことにこっちが驚いた覚えがある。えっ、そんなもんなんですか?!と。確か元は大阪市博物館?大阪市教育委員会?の所蔵品で、それが歴博に置かれているということの紐づけが、どこかで途切れてしまっていたようだった(該品は〝歴博所蔵品〟ではないと仰っていたのは間違いなく、ORJのどこかで引用したときも正しい方で書いていたはずだが、どこに書いたんだったか・・・)。
酒井さんが「煉瓦のまちタイルのまち」展示を企画されたことや、考古学ジャーナルの煉瓦特集に寄稿されていたりすること、そもそも大阪の近代建築についての造詣が深くて泉布観のことなども書かれていることを知ったのはその後のことである。煉瓦研究を深めれば深めるほど酒井さんの仕事に行き当たり、多くを学ばさせていただいたし、もし私の研究成果を喜んでくれる方があるとすれば酒井さんしかいないかも知れぬ、とも思っていた。もう一度お会いして見つけた煉瓦刻印の報告ができたら、とも思っていた。
けれども……。それが叶う前に病に罹られ、次に酒井さんの名前を目にしたときにはもうこの世にはおられなかった。2018年6月に亡くなられたという。何かの際に酒井さんの追悼記事を見つけてしまって茫然自失した覚えがある。
深く関わる機会もないまま去ってしまわれた酒井さん。特に面識があったわけでもないのに、自分が見つけた・気づいたことを共感してくれそうな人がいなくなったことが残念でならなかった。いまだに煉瓦の研究を続けているけれども、実は、酒井さんがなし得なかったことを不肖私めが代理で追求しているつもりなところがあったりする。託されたわけでもない仕事を勝手に引き継いでやっているつもりだったりする。その割にはまともな成果が出せていないけどね。
そんな酒井さんの追悼の意味で3冊の本が出されたこともつい最近知った。雑誌「大阪人」に連載された近代建築の記事を集成した『発掘 de OSAKA』、タイル建築の探訪記『タイル建築探訪』、そして各種媒体に掲載された報文を集めた『酒井一光論考集 建築学芸員のまなざし』。この順で発行され、2021年刊の『建築学芸員のまなざし』をつい最近入手して読んでいる。読んで改めて、多くの人に好かれた素敵な人だったのだなと思う。着眼点も読み解き方も(単に建築史の視点からだけでなく建物と人との関わりを多面的に説いてくださる)自分の考えに通じるところがあって、知らず知らずのうちに教えを受けていたのかも知れないと思ったことだった。
論考も解説も大変わかりやすく、よい書に出会ったと思う。ここに掲げられた論考を全部読もうと思ったらどれだけ面倒なことになるかわからない(掲載誌がバラバラなので)。しかし……非常に残念なことに誤字脱字が目立つ。おそらく掲載媒体のスキャン画像をOCRでテキスト化したものを使って編集したとお見受けする。OCR特有の誤字脱字が多いからだ(特に第一章、第二章)。あるいはpdf媒体からテキストを抽出して流し込んでいる。どう考えても不要なスペースが紛れ込んでいるのは改行テキストをコピーした時に紛れ込むやつだ。もちろんかなり校正されているはずだが元がOCRだったりpdfコピペだったりすると包蔵誤謬の量が多すぎで追いつかないことが多い(経験者談)。それを修正する作業で新たな誤字を引き起こしたりもする(経験者談)。まあ、この手の誤字脱字は文意を損なうものではないから、脳内補完で各自訂正しながら読めばよいのだろうけれど、一度誤謬に気づいてしまうと気になって仕方がなくなるし、せっかくの業績、せっかくの遺稿集に瑕疵があるように見えてしまうのが惜しまれてならない。
ゆえに勝手に正誤表を作ってみることにした。出典原典は当たれていないので出典からこの通りである可能性もあるが、その辺りのことは特に書かれていなかったので『まなざし』編集の際に紛れ込んだものと仮定しておく。「▲」をつけたものは酒井さんの意図した言葉遣いだったり引用文の原文ママである可能性があるもの。P14LL7の「成の高い窓」などはこれで正しいと思うけれど、それ以外はたぶん誤りと思われる。
P14LL 歪めない → 否めない
▲P18LL3 無隣庵 → 無鄰庵 (〝無隣庵〟でも間違いではないが https://murin-an.jp/about/characters/)
▲P19L7-8 適用性 → 適応性
P21L4 庭菌 → 庭園
P23LL2 地二<漢数字>移シ → 地ニ<カナ>移シ
P24L2 事跡二<漢数字> → 事跡ニ<カナ>
L7 尽カ<カナ> → 尽力<漢字>
P25L3 いたのでさる → いたのである
L11 平明計画図 → 平面計画図
図九キャプション 情報 → 上方
P27注(3) 「大阪の歴史」 → 『大阪の歴史』
同 『造幣寮金銀貨幣鋳造所の建築」 → 『造幣寮金銀貨幣鋳造所の建築』
P30注(30) 「明治天皇大阪行幸誌』 → 『明治天皇大阪行幸誌』
P33L8 蓄積が_ある アキ不要
P34L10 十一月_一日 アキ不要
P38L13 ありまし_た アキ不要
P39LL8 ほう_へ アキ不要
▲P40L1 白川宮廷 → 白川宮邸 (同文中では旧白川宮邸で統一されている)
P46L9,L13 頭二画オトシ → 一画オトシ
LL3 迄二<漢数字> → 迄ニ<カナ>
P48L4 不要な頭オトシ
L11 在籍かした → 在籍した
P51LL7 復元の実。務 → 復元の実務
P52注(2) 公文書館紀堂要 → 公文書館紀要
同 _坂城 → 大阪城
注(5) のの → の
注(7) 頭に〝『〟不足
P53注(13)L1 「大阪城誌』 → 『大阪城誌』
同L4 をに → を
▲P57L2 者の → ものの
▲同LL3 如きる → 如き(引用文中)
P60LL6 言ム様 → 言う様(引用文中)
P61L6 あったあのの → あったものの
LL8 あえて_鉄骨鉄筋 アキ不要
▲P62LL1 必鉄骨 → 必ず鉄骨(引用文中)
▲P64L9 標の如き雑木 標→栗の誤り?(引用文中)
P65L12 木造のぼうが → 木造のほうが
P68L10 伴ム → 伴う(P60LL6と同様の誤字)
P69L8 見たとしてる → 見たとしても
LL4 然る鹿児島神宮 → 然るに鹿島神宮(か?)(引用文中)
P70L4 すべさ点 → すべき点
P73注(3) 博物_館紀要 アキ不要
同 近代画說 → 近代画説(ここのみ旧字体になっている P52注(2)では新字体〝説〟)
注(5) 二八一二九頁 ページ数おかしい?
P75注(18)『錦城復興期」 → 『錦城復興記』
P78L2-3 総工賀 → 総工費
P83写真11キャプション 2階級師団長室 → 2階旧師団長室
P107L9 千土地 → 千島土地
P119L11 壁_面 アキ不要
LL1 入れ、子状に → 入れ子状に
P123LL2-1 A.レーモンド 〝.〟の位置(全角ピリオドに)
P143LL1 一画オトシ不要
P168~ 「中村順平画「前橋八幡宮透視図」と実現した社殿について」全体 本文中〝欄〟の字だけフォントウェイトが違う?(わずかに太いように見える)
▲P199注(11) ここのみ出典発行年が和英
P2007行 北海道開堂 → 北海道開道
P212LL5,6 壕 → 塼
P233L5 嫌瓦 → 煉瓦
P237写真注釈 岸_和田煉瓦 アキ不要
P238表1 山陰形 → 山陽形
P246LL3 因徒 → 囚徒
P283LL4 取っ_ている アキ不要
P302写真キャプション 冒頭の「 → 『
P326LL2 建築の_形見 アキ不要
P342L3 1フロア の1を大文字(縦書き)に
P409LL12 頭一画落としすぎ
bdb.kyudou.orgにアクセスすると変な詐欺サイトに飛ばされるようになって困っていたのだがようやく解決した。結論から言えば使ってない古いwp-codeプラグインを放置していたのを狙われたようだ。確かマップを表示させようと思って試してたのを停止して削除せずに置いてたと思う。削除しているはずなのにプラグインフォルダにはihaf関係のフォルダ残ってるし新規インストールし直したのに日付古いし。プラグインを再インストールしても一覧に出てこない辺り、そのへんもいじられていた可能性がある。こいつが悪さしている可能性はWpdefenceのメールが教えてくれた。入れてるつもりのないwp-codeのアップデートを求められたから。
(1)FTPで該当プラグインフォルダを削除 (2)データベースのwp_optionについてvalueがcodeを含むものを探し出し、wp_user_roles以外のエントリを削除(wp_user_rolesは削除するとログインできんくなるでよ) (3)wp_postsにも%code%検索で「無題のスニペット」がヒットする。こいつを削除 (4)その他気持ち悪いのでwp_optionやwp_postmeta等でwp_code絡みのエントリを全削除
今回のは.htaccessの書き換えのような単純なのではなく、ChromeのF12でネットワーク監視も効かなかった(wp-codeで動的にコード挿入して飛ばしてるんだと思う)。飛ばされる先のURL検索してもデータベース内には出てこなかった。難読化しとるんだろうな。
びっぐしっと!
昨年末に向山トンネルへ行ってスマホを水没させてしまい買い直した同型機のコネクタを折ってしまって半年のうちに二度も買い直すという愚行をしている。スマホを充電しながら横になりながらネットを見て寝るのが習慣になっているためコードが刺さった状態のスマホに覆い被さって折ってしまうもののようである。愚かである。
水没したほうのスマホが復活したのをいいことにそれに戻ったのだけれども①ケーブルを刺しただけでは充電せず一度OFFるか再起動しないといけなくなった②そんな状態なので当然PCには繋げない③液晶フィルムが剥がれてきてそろそろ交換せにゃならん というようなことが重なって結局買い直した。前と同じUMIDIGIの比較的新しいモデル(ねだんはやすい)。しかしこのモデルから妙なメーカーのランチャーが入るようになって―――移行の時に間違えてオプトインしてしまったのかもしれない―――こいつがまあうんこ。要らんブラウザとかユーティリティとか連れてきて、削除しても削除しても復活しやがる。削除したくてもSystem扱いで削除できぬ。redditでもボロクソに言われてた。
で、redditの投稿を参考にこのランチャーの削除を試みたのだが、削除したらスマホが使えなくなった。当たり前だ、別のランチャー(ホームアプリ)を入れてもないのに削除したら動くわけがない。Mac OS でファインダー削除するようなもん。
いろいろ移行した後だったので再インストールはしたくない、ということで動かないスマホ相手に呻吟したのだが、GoogleアカウントがわかっていればGooglePlay経由で遠隔でアプリをインストールできることを知りPCから操作してランチャーを入れ直した結果無事動き出した。いやー焦った焦った。というオチのない話。
とりあえず別のホームアプリを入れてそちらを使っている。Naiagara Launcher というやつ。もとのランチャーも気分的に嫌なので削除してしまいたいが、アプリ切り替えの画面でこいつが使われている形跡があり(たぶん全アプリをクリアしてメモリ解放するところ)ちょっと躊躇っている。やるんだったらラインとか移行してファクトリーリセットしてもいい状態にしてからだ。
Naiagara Launcher は全く新しいコンセプトのホームアプリだけど案外自分の使い方と感覚とに合ってて気に入った。アプリアイコンが並んでいるあの状態がスマホ画面なんだというのが単なる刷り込みだったことに気付かされもした。どうせ普段遣いのアプリはそんな沢山もないんだし、めったに使わないんだったら見えるところになくてもよくその都度探せばよいだけの話。
R長手/厚 30= 4.09 [4.05, 4.13]99%
R小口/厚 30= 2.02 [1.99, 2.04]99%
D30 = 228.7 x 111.3 x 55.90 mm
⇒ 7.55 x 3.65 x 1.85 寸
or 9 x 4-3/8 x 2-1/4 in ( 1.2 in/寸 換算 )
門ノ前暗渠は目地がよく抜けていて計測に向くことに気つき、以前から気になっていたことを確かめに行った。「煉瓦のどこを測ればよいか」という根源的なことだ。
nagajisが勝手に主張している対厚比法では、小口は各辺の中央で小口幅・厚を、長手長も面の中央で測ることにしている。長手の厚だけは長手のだいたい1/4のところ。長手厚の計測箇所をここにしているのはそこがいちばん測りやすいというのもあるし(その上下に縦目地があるのでどんなに目地が詰まっていても計測することができる)、その辺りが最も厚いことが多いと、対厚比法を始めた当初に気づいたからだ。長手中央で厚を測ると小口厚よりも小さな値になる傾向があったので、それを小口側に合わせるようなイメージで。もし煉瓦が完全な直方体ならどこで測っても厚は同じだろうが(それを理想形と仮定して対厚比法をやってるわけだけれども)実際には火の当たり方とか成形時の歪みとかで完全一様とはいかない。同じ面でも測る場所によって値が変わる。小口や長手は三桁数字なので比に現れる影響は小さいとしても、厚に関しては小数点以下一桁まで有効である必要があり、違いが結果を大きく左右する。どこの厚を測るかで対厚比が大きく変わる。
その「測る場所によってどれだけ値が変わるか」を、門ノ前暗渠で試してみようというわけだ。結果は上表。長手と長手厚、小口と小口厚の各行は、同一の煉瓦について計測箇所を変えて測った値のセット。背景に色をつけてあるのはその計測における最大値、すなわちその煉瓦の長手|小口|厚の最大値と考えてよい(ただし表面に露出している部分においての。それが煉瓦全体の最大値だという保証はない)。
長手、小口に関しては中央のほうが大である場合と端のほうが大である場合がほとんど拮抗している。厚も長手1/4厚と長手中央厚とでは大小の偏りがないように見える。長手・小口は端で測った値の平均値が中央計測より0.7~0.8mmほど大きいのもまあうなづける。端といったときに測れる箇所は2箇所あるわけだが、そのうちの大きく見えるほうを選んで計測したところがある。もし木枠等で仕上がり寸法のチェックがされていたとすればその合否に影響するのは辺の最小値ではなく最大値のほうだから(と思って大きい方を選んで測ったが、よく考えたらあんま意味ないなこの計測の課題に対しては)。
何より大事なのは、厚を端で測ると明らかに小になる傾向がみられること。すなわち煉瓦を平置きしたときの四隅が小さくなる傾向。模式図を書けばこんな感じになるかと思う。
原因はいろいろ考えられるのだが、煉瓦の角=三辺から熱が加わる=他の部位に比べて焼成が進むために縮みやすいんじゃないかと想像する。ただ窯内で積み上げた時に角が完全に露出するとは限らないのでアレかも知れない。それから端はそもそも正確に計測するのが難しい。多少を問わず角が欠けていることが多いし、成形→乾燥の過程ですでに歪んでいる可能性も高いと思われる。整形し直せばなおさら角は歪みやすいだろう。
で、問題は「そこを測ることの妥当性」を評価できるかどうか、対厚比法の計測箇所は中央と長手1/4厚でよいのか、なのだが、正直これといった断言ができない。対厚比法に則って算出した対厚比(オレンジの網掛け)は 4.09 / 2.02 となったが、その数値が「煉瓦の辺の比を正しく表している」ということの証拠が実はない。煉瓦の寸法といったとき、各辺の最小値よりも最大値のほうが煉瓦の寸法とは考えやすいとは思うし、型枠などで規格合致の可否を判断する場合にも最大値のほうが効いてくるとは思う。そこ(各辺中央)だけが極端に厚いようだとただ歪んでるだけかも知れないが……例えば小口厚なら1mm以下の違いしかないのでまあ特に膨らんでるとは言わないでもいいのかもしれん。対厚比法で比を考えようという場合にその小さな違いが大なる影響を及ぼすだけだ。
平均寸法を1/8インチで規格化すると、 9 x 4-3/8 x 2-1/4 in となり、これは目地厚 1/4 inとする規格に見える。イギリスにもこの寸法が流通していた時期があるし、関西鉄道揖斐川橋梁の井筒にも 9 x 4-3/8 x 3 inの矩形煉瓦が採用されたとする記録がある。ただし 9 x 4-3/8 x 2-1/4 in の対厚比は 4.00 / 1.94 で、計測で得られた値とは異なる。これは厚計測値 55.90 mm を1/8インチで規格化した結果 2-1/4 in (= 57.15 mm)に丸められたために起こった齟齬。すなわち厳密には 2-1/4 in ではない。最も近い値がそれということ。つまりは 9 x 4-3/8 x 2-1/4 in を仕上がり寸法として意識しつつ、それに近いものになるよう尺寸規格で作った結果と考えられる。鉄道技術とともにイギリスから持ち込まれた煉瓦の寸法を尺寸で再現しようとした結果の産物が京都大阪間鉄道の煉瓦だというわけ。
仮にその想像が正しければ=計測した対厚比を全面的に信じれば、三辺比が 4.1 : 2.0 : 1.0 となるような型枠、例えば 8寸2分 : 4寸 : 2寸 という型枠で素地を作ったことになる。8寸2分(=248.46mm)を9インチ(=228.60mm)に焼き縮めるような焼き方をすれば、すなわち収縮率8%に焼けば該煉瓦になる。けっこうわかりやすい。まあそのような想像が、中央・1/4を計測した場合には言える故に―――そこを測った場合にその結果を用いて他のことがうまく説明できることから帰納的に妥当と考えているという、まことにまどろっこしい立脚をしているのだった。
本当はM24規格がものをいうはずなんだけれども、あれも厚 2-1/4 in を決めうちにして、平面形 9 x 4-1/2 in を最大としてそれ以下に焼き縮むことを認めるもので、必ずしも 9 x 4-3/8 x 2-1/4 in の妥当性というかを証明するもんじゃないし、京都大阪間鉄道~中山道線~東海道線の試行の結果がM24規格なのであって、これに準拠して京都大阪間を作ったわけじゃない。だったらむしろ『鉄道道路曲線測量表 : 附・布設法』(M32)の第22節 煉瓦積求積速算表使用法にある「日本の鉄道にて使用する煉瓦は普通長九吋巾四吋二分の一厚二吋四分の一である」の記述のほうが。
仮にここで端厚のほうが元の素地の辺比を保存していると仮定して対厚比を算出すると 4.17 / 2.05 くらいになる。端-端で比を出せばさらに大きい。これだって 4.15 / 2.05 とみなせば 8.3 : 4.1 : 2.0 の型枠で作れないわけではない。小口が4寸1分という中途半端感がちょっと引っかかるだけだ。あと、端を正しい厚とみなして寸法平均値を出すと 9 x 4-3/8 x 2-1/8 in となるが、京都大阪間鉄道の煉瓦積みにインチメジャーを当てると目地込み 2-1/2 in で積んでいることが明白にわかるので、厚 2-1/8 in に 3/8 in 目地となることになるが、だとすると長手方向小口方向の目地厚と揃わないことになってしまう。2-1/4 in 厚に 1/4 in 目地と考えたほうが縦目地も 1/4 in なのでスッキリする。まあこれも、縦目地横目地で目地厚を違える示方書もあるので全くおかしいことでもない。
もやもやと考えてきたことを頑張って言語化してみたがやっぱりうまくまとめられないな。的確に必要最小限に書き切ることができないとだめだ。
そこのところ市古煉瓦はようやっとる。市古の薄型を全面的に使っているとみられる宮川暗渠なんかは対厚比 3.98 / 1.94 で、これは 9 x 4-1/2 x 2-1/4 inの対厚比 4.00 / 1.94 に限りなく近い。おそらく型枠からインチで作ったか、尺寸単位厘刻みでインチに限りなく近づけて作ったかしているはず。規格化すると9-1/8 in になってしまうが。むしろ 7.6 x 3.75 x 1.90 寸を狙って作ってあるのかもしれぬ。
R長手/厚 31= 3.98 [3.95, 4.02]99%
R小口/厚 31= 1.94 [1.92, 1.97]99%
D31 = 229.7 x 113.8 x 58.05 mm
⇒ 7.60 x 3.75 x 1.90 寸 or 9-1/8 x 4-1/2 x 2-1/4 in ( 1.2 in/寸 換算 )
門ノ前暗渠の煉瓦が結構精度良く 9 x 4-3/8 x 2-1/4 inっぽいのをいいことにこんなことも考えてみた。煉瓦端のカット処理がどれくらいの頻度で行われるものなのか、という考察。
煉瓦の目地が詰んでしまった時に端をカットしたり表面だけ削って目地を盛りあたかも正しく積んであるように見せかける姑息が時おり見られる。写真は関西本線小休場橋梁のカット処理。この橋台は土木構造物にしては珍しく覆輪目地で仕上げていた形跡があり、目地が詰んで鏝が入らなかった箇所は煉瓦の端を削って無理やり体裁を整えている(写真右側の煉瓦の角が削れている。以前はここに目地を盛っていたはず)。こういう加工をされると計測の時にとても困る。煉瓦の正確な寸法が表に現れないから。橋梁橋台のような土木構造物だと見栄えとか仕上がりとかを気にしないことが多いのでこういう加工は少ないほう。一般の建築、特にフェイスの化粧張りなんかはかなり頻繁にカットされていると思う。
目地が詰む原因はいろいろあるだろうが、そも煉瓦が原理的に一定寸法に焼き上がらないものであることが最大の原因だろうと思う。長 9 in (228.6mm)を意図して作っても全部が全部この寸法に焼き上がるものではない。長7寸5分に作ったつもりでも、一つ窯から7寸2、3分~7寸7分くらいの煉瓦が焼き上がるのが普通と滝大吉も言っていた。そうして意図した寸法より大きく焼けたものが立て続けに並んだりすれば目地が詰んでしまったり全く目地を入れられなくなったりする。
門ノ前暗渠は 9 x 4-3/8 x 2-1/4 in の煉瓦を意図しているのが明らかだが、これでイギリス積みの長手を詰む時、煉瓦の中心を 9-1/4 in 離して積んでいくようにすればきれいに積むことができる。長手を置く都度 1/4 in の縦目地を取って積んでいくやり方でもいいと思うが、長短入り交じる実際の煉瓦でそれをやると長いやつと短いやつとがランダムに入ってくるので縦目地の位置が他の長手列と合わなくなるだろう。だったら最初から 9-1/4 in ごとに水糸を張っとくとかして位置決めし、それに合わせて積むような感覚で積んでいくほうがきれいになるんじゃないかと思う。もちろん都度目地でもきれいに積むのが真の煉瓦積み職人なんだろうけれどさ。あるいは長手端のカットを厭わずするとか。時間かかるけれど。
で、そんな積み方を考えた場合、煉瓦長が平均より6mm以上大きい煉瓦が連続すると縦目地が入れられなくなる。すなわち加工の必要が生じる。3mm以上大きいものが2つ並んだ場合(目地厚が3mm以下になる場合)も実質的には詰むのが困難になる。
とりあえず、完全に縦目地が入れられなくなる場合を考えてみる。すなわち平均より6mm以上大きな煉瓦がどれくらいの割合存在するか。これは要するに母集団の分散・母分散σ2を推定し、そっから標準偏差σを知ってアレコレすればいいのだと思う。門ノ前暗渠の30点計測の結果、母分散の区間推定(信頼度99%)は
3.16≦σ2≦12.6
となった。ルートをとって標準偏差は
1.77≦σ≦3.55
の範囲。
とりあえず最大値 3.55 を採用してみる。長手の寸法のばらつきが正規分布に従うものと仮定し(確認はしていないがまあ従うやろ普通)、標準正規分布表から(6/3.55)σ=1.69σの数値を読めば、Φ(1.69)=0.045514。すなわち6mm以上大きな煉瓦は全体の 4.55% 存在することになる計算。この煉瓦が2つ連続する確率は 0.045514 x 0.045514 = 0.002071.. = 0.2%で、500回並べたら1回は目が詰んで目地が入らない事態になることになる。
以上は最も厳しく見積もった場合。母分散≒標本分散と仮定してσ=2.35で考えてみれば
(6/2.35)σ=2.55σ → Φ(2.55)=0.005386
∴ 0.54%が6mm以上 → 2つ並ぶ確率は 0.0029 %
となるので、まあほとんど起こりえないことになる。
6mm以上でなくても、3mm以上になれば(目地厚が3mm以下になれば)実質的に積めなくなると思うので、この場合も考えてみると
(3/3.55)σ=0.85σ → Φ(0.85)=0.197662
∴ 19%が3mm以上大きい → 2つ並ぶ確率は 3.9%
すなわち25回に一回は目地が3mm以下に詰んでしまうことになる。結構な割合ではなかろうか。母分散≒標本分散と仮定した場合は
(3/2.35)σ=1.28σ → Φ(1.28)=0.100273
∴ 10%が3mm以上大きい → 2つ並ぶ確率は 1.0%
すなわち100回に1回は3mm以下になる。これも案外多い気がする。今回の門ノ前暗渠の計測は北側にある翼壁で行なったけれど、実際に端カットされた煉瓦を何個か見たので、1%~4%くらいの確率で目地が詰んで加工の必要が生じるというのはなかなか納得いく感じだとおもう。
とはいえこうした端カットは橋台の端近くとか中央とかいった特定の場所に集中していることが多い。似通った場所で調整しているのは先述した割り付けのようなことをせず、真ん中から端へ向かって(あるいはその逆に)都度目地で積んでいった証拠だろう。そうやって目分量で積むのが普通だったのだろう。事前に割り付けができるのは煉瓦寸法規格がかっちり固まっていて、煉瓦もそれを遵守しているような場合に限る。9吋長を基本としているのに平均値が9-1/4吋長になってしまっている甚兵衛川暗渠のようなやつはそもそも割り付けられない(母平均わからんわけやからな)。そんなだから分散大でも問題なく積めるフランス積みが流行ったりしたのではあるまいか。
なおこの頻度で目地が詰んでしまうのは目地厚 1/4 in = 6 mm 前後になってしまう寸法規格を採用したせい。東京形 7.5 x 3.6 x 2.0 寸なら縦目地は 3分 =9 mm になるので目地が完全に詰まるようなことはないと思われる。それでも詰んでしまっていたとすれば都度積みで見当を誤ったかひどく歪んだ煉瓦ばかり使ったか。大阪城の兵器補給廠塀なんかは東京形で端カット有りだったが、あれは焼過煉瓦で作った枠に普通赤焼きの壁をはめ込む形で、壁部が柱部より目地を詰まなければならないことを考えてなかったんじゃなかろうか。

糞GoogleMapsAPIがまた変更になってカテゴリーのマップが動作しなくなった。解説を読んでもさっぱりワヤなのでGeminiに丸投げ。scriptを放り込んでAdvancedMarkerElement使う形に書き直してとやったらそれっぽいのができた。反映したら動いた。
アイコンの基準点(アンカー位置)は、AdvancedMarkerElement ではデフォルトで下部中央(従来の Point(16, 42) 相当)になります。微調整したい場合は、iconImg.style.transform = 'translate(-6px, -41px)'; のようにCSSで調整可能です。
は放置の方向で。
これ使ったらphp8.x化するんもできるんかな。